無知の楽しみ(その4) 素数ゼミ

どうも、スタッフの濱口です。

今回はまず時事ネタを2つ。
1つ目は、またやってしまいました。
金(かね)の話で書いたように
定期を持っているのにICOCAで入場するという大ポカを。
濱口は恥ずかしがり屋さんなので駅員さんの手をわずらわせることができず、
「一度出て定期券で入り直そう」としました。そうすれば入場券の料金ですみ、被害が40円少なくなるからです。
しかしICOCAをかざすと正確には覚えていませんが「駅員に連絡してください」という趣旨の表示が出て
ゲートは開きません。
このままプラットホームに上がって目的地まで行くという選択肢もあるにはあるのですが、
改札を出ようとしてゲートが開かず、戻ってプラットホームに行くというのは奇妙な行動です。
恥ずかしがり屋さんの濱口にはできません。
それで駅員さんのところに行きました。
「あの、これ(定期券)で入るはずがこれ(ICOCA)で入ってしまったんですが」
というと
「ああ、じゃあ(ICOCAの入場)データを消しますね」とICOCAを受け取り、自動改札の横の柵を開けて、
「(ここから出て)定期券で入り直しておいて下さい」といって奥に引っ込みました。
自動改札から入ると処理が終わったICOCAを手渡されました。
きっと濱口以外にもこういうことをする人が大勢いるのでしょう。
あっという間に終了しました。
ICOCAポートライナーの磁気定期券を持っていて、普段はICOCAをよく使うのでついついポートライナー
ICOCAで入場してしまう人限定で有用な情報でした。

時事ネタを2つ目は、
ゲリラ豪雨」に出会いました。
買い物の帰りに「ポツリポツリ」の予告もなくいきなり大粒の雨が「バサバサバサ」と降ってきました。
濱口はちょっと変わった高校の出身なので、ちょっとくらいの雨は気にしません。
その濱口が「これはきついな」と思うほどの大粒の雨。
かばんの中には折りたたみ傘があったのですが「ま、いいか」とそのまま歩いていました。
これは出身高校に関係なく濱口の資質。
すると10秒もたたないうちにいきなりやみました。
仮にすぐに折りたたみ傘を出したとしても差す前にやんだであろうという短さ。
ゲリラ豪雨」というより「通り魔豪雨」でした。
いや、単にそれだけです。

さて今回久しぶりの「無知の楽しみ」です。
「無知の楽しみ」とは
知らないからこそ、恥ずかしげもなく話を広げていくことができる。
知らない方が楽しいよ。
という話をしていくシリーズ物です。
ですから以下の話も正しいという保証はありません。
ホンマでっか!?TVくらいのノリでお読みください。

日本では毎年セミがないています。
しかしアメリカでは13年もしくは17年に1度大量発生し、他の年にはほとんど発生しません。
13年、17年と2種類あるのは、13年ゼミ、17年ゼミと2種類のセミがいるからです。
13、17がともに素数であることから「素数ゼミ」と呼ばれています。
大量発生は生き残るための戦略です。天敵が食い尽くせないほど大量発生すれば生き残る個体が多くなる。
と説明されることが多いようですが、素数ゼミの場合もう1つの意味があります。
食物連鎖から考えて、被捕食者が増えれば捕食者も増え、被捕食者が減れば捕食者も減る。
ですから素数ゼミが大量発生すればその天敵も増えます。しかし素数ゼミの場合、その後の
12ないし16年はセミはほとんどゼロです。そのため一度増えた天敵も減少します。
そしてその減ったところで13ないし17年振りの大量発生。
彼我の個体数差はさらに大きくなります。

以上の条件だけでは、ある程度の間隔があれば9年ゼミでも20年ゼミでもかまわないのですが、
なぜ素数なのか。「他のセミと同時発生しないように」と説明されています。
他のセミと同時に発生すると、他のセミと交配してしまうからという説明が多いようですが、
単純に「食料等に限界があるのである程度以上大量発生しても生き延びられず無意味」と考えても
いいと思います。

周期が素数だと同時発生する期間が長くなります。
しかしそれなら素数でなくても、共通素因数を持っていない、つまり互いに素であってもいいはずです。
13年ゼミと17年ゼミなら13×17=221年周期で同時発生します。
しかし15(=3×5)年ゼミと16(=24)年ゼミならいずれも素数ではありませんが、3×5×24=240年周期で221年より長くなります。

ではなぜ素数なのか。
ちょっと計算してみました。
いわゆるシミュレーションですがシミュレーションはどのような設定にするかが大事です。
ここでは次のように設定しました。
・1年ゼミから20年ゼミまで20種類のセミがいる
・初期値は50,000匹。つまり1年目は1年ゼミが50,000匹、2年目は2年ゼミが50,000匹発生する
・その年の個体数のx倍が次の機会(3年ゼミなら3年後)に発生する。
 xをいくつにするかが重要になるが、xが1未満だと発生するたびに減少するので、発生回数が少ない、
 つまり周期が長いほうが有利、逆にxが大きいと周期が短いほうが有利になる。x=1〜1.02くらいが
 妥当だった。
・1年間に生き残る個体は全体で100,000匹。それを超えている場合は個体数に比例して減少させ、
 全体で100,000匹にする

ちょっと例を示せば、x=1.1として
・1年目に1年ゼミが50,000匹発生。他のセミはいない。全体で100,000匹以下なのですべて生き残り
 1年ゼミは50,000匹で2年目に進む。
・2年目に1年ゼミは50,000匹×1.1=55,000匹発生。2年ゼミは初期値の50,000匹発生。他のセミはいない。
 全体で100,000匹以上なので100,000匹になるように比例配分し、1年ゼミ50,249匹、2年ゼミ49,751匹になる
・以下3年目に3年ゼミが初期値の50,000匹発生。・・・
というふうに進めて行きます。

これを400年後まで続けました。
下図はx=1.01のときの結果です。横軸は年数、縦軸は個体数。凡例の1〜20は1年ゼミから20年ゼミを表しています。
101-A

いやあ、見にくい。色を工夫すればもう少し見やすくなるのでしょうが20もあると設定するのも大変です。
それにどうやっても重なるグラフが出るので見にくいことには変わりない。
なので400年後のセミの個体数だけを示すことにしました。ただし、3年ゼミは400年後には発生しないので399年後の
個体数。同様に400年後に発生しないセミはその直前に発生した個体数としました。
それを横軸が何年ゼミか、縦軸が個体数でグラフ化しています。
ではx=0.9からx=1.05までを一気にどうぞ。


x=0.90

090-B

x=0.99

099-B

x=1.00

100-B

x=1.01

101-B

x=1.02

102-B

x=1.03

103-B

x=1.04

104-B
x=0.90のときは長周期が、x=1.04のときは1年ゼミが多数派を形成しますがその間、たぶんxの設定が適切な
辺りでは素数セミの個体数が多くなっています。いやあ、ここまで露骨に素数セミの個体数が多くなるとは。
つまり現在の素数ゼミは淘汰された結果であり、結果だけ見れば15年ゼミと16年ゼミでもいいのですが、
淘汰の経過を考えるとそれはありえない。

もちろん設定次第で結果は変わるでしょうが、そこそこ正しそうな設定でこの結果。
素数ゼミが生き残るのは当然というわけです。

ちなみにこの設定の弱点を挙げておくと
・天敵の増減が入っていない
・生き残る個体数が100,000匹と一定
・1年ゼミから20年ゼミが均等にいたという初期値
などが考えられますが、でも入れたところで個体数そのものはともかく各セミの比率はあまり変わらないような気もします。

まあ、「無知の楽しみ」ですから苦しんでまで進める必要はないですね。
ここで終わり。