コイセンサー

どうも、スタッフの濱口です。

このブログは原則日曜の夜遅くに更新していますが、8/10〜8/18までお盆休みだったので
8/11、8/18はお休みして3週間ぶりの更新です。

東大阪市の水道水はおいしい」
お盆休み中に見たテレビ番組でのセリフです。
かつてはまずい水の代名詞だった「水道水」もだいぶ様変わりしています。
東大阪市においては平成10年7月より高度浄水処理をしています。

高度浄水処理とは、オゾンの強い殺菌力により有機物質や汚れを分解し、
粒状活性炭の吸着力でそれらを取り除くことで、
そのことにより殺菌用塩素の注入量が減少したため、
カルキ臭、トリハロメタンも大幅に減少しているそうです。

水道事業の府市統合が話題になっていましたが、それから考えるに東大阪市の水道は
大阪府が管轄しています。だからたぶんその他の市も次々と高度浄水処理をしていることでしょう。
で、統合相手の大阪市がどうかといえば、やはり、高度浄水処理をしています。
「だったら統合しても問題ないじゃん」とまったくの部外者の濱口などは軽く考えてしまいますが、
まぁいろいろとしがらみがあるのでしょう。

さて、tagはscienceですが、この高度浄水処理の話ではありません。
ていうか、タイトルを見れば一目瞭然、「コイセンサー」の話です。

コイセンサー。KOI(コイ)は何かの頭文字をつないだもの、
たとえばknowledge of IntelligenceでKOIというわけではなく、「鯉センサー」です。
取水口から取り込んだ先に「5つに分かれた水槽」があり、鯉が泳いでいます。
そしてエサで誘って、普段は鯉が取水口に近い水槽にいるようになっています。
もし、取水口から有害物質が入ってくると、鯉はそれを嫌って奥の水槽に移動します。
したがって、鯉がどの水槽にいるかを見れば、有害物質の有無がわかります。
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画像から鯉を自動認識しやすいように白い鯉を使うといった工夫もしているそうです。

センサーとして鯉を使う理由としては、濱口の推測ではありますが、
まずは安価であること。
それから設置位置が取水口直後であること。
上水道に送り出すところでは物質XXは??ppm以下といった基準値があるはずですが、
処理する前の取水口直後には基準値はないんじゃないでしょうか。
だとすると物質XXは??ppmと正確に測定してもあまり意味はありません。
むしろ「鯉が嫌がるほどの汚れ」という情報の方が役に立ちそうです。
コイセンサーについて詳しくは
「コイによる常時水道原水水質監視」

をご覧ください。

このコイセンサーで思い出すのが「毒ガスを検知するためにカナリアを連れて行く」話です。
日本では1995年の山梨県上九一色村オウム真理教施設に対する強制捜査の際に捜査員が携行している様子が報じられ、
有名になったそうです。
すでに18年前。いつものように「ある程度、年を重ねた人はわかると思いますが」とつけた方がよかったかもしれません。
この「カナリア検知器」、元々は炭鉱において、発生するメタンや一酸化炭素といった窒息ガスや毒ガス早期発見のための
警報として使用されたそうです。
新しい斜坑の底に3羽以上のカナリアを置き、1羽でも異常な行動が見られたなら、斜坑から撤退する。
人の代わりにカナリアが死ぬ(←そこまではいかないのかもしれませんが)ことで危険を察知するわけですから、
見ようによっては「動物虐待」ですが、少なくともコイセンサーは違います。

仮に取水口部分に毒物が発生したとしましょう。
取水口の外にいれば、死んでしまいます。
でも取水口の内側、コイセンサーの中にいれば、奥の水槽に逃げれば死なないかもしれません。
死ぬことで危機を知らせる「炭鉱のカナリア」と違い、「コイセンサー」は逃げることで危機を知らせます。
ですからよっぼど急激に水質が悪化しない限り鯉が死ぬようなことはありません。
ということなので「動物虐待だ」などという抗議はおやめください。

「動物虐待」といえば有名なのが科学者のエルヴィン・シュレディンガー
彼は箱の中に放射線が発生すると毒ガスが発生する仕組みとともに猫を閉じ込め、
何匹もの猫を殺した極悪非道な科学者・・・ではありません。
これは思考実験であり、実際にこの実験を実行したわけではありません。おそらく彼は生涯で1匹の猫も
殺したことはないでしょう。でも実際に彼が猫を惨殺したとかん違いしている人もいるようです。

このシュレディンガーさん、マニアックな人間しか知らないのかと思っていたら、
2013/08/12に「シュレディンガー生誕126周年」としてGoogleのロゴが変更されました。
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「生誕100周年」、せめて「生誕110周年」という切りのいい数字ならまだ理解できるのですが、
「生誕126周年」って何なんでしょう。この調子なら「生誕127周年」も「生誕128周年」も
Googleのロゴが変更されそうです。
それほどの有名人ということでしょうか。

ところで上記の思考実験は「シュレディンガーの猫」として知られていますが、
シュレディンガーの箱」ってご存知ですか?
シュレディンガーの猫を入れていた箱」という意味です。

これでは何の説明にもなっていませんね。
シュレディンガーの箱」とはサイエンス・グッズ・ショップの名前です。
サイエンス・グッズといっても実験道具を売っているわけではなく、科学関係のグッズを売っています。
これでもわかりにくいですね。
下のイラストがリンクになっていますので、一度のぞいてみてください。
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いいものか悪いものか箱を開けるまではわからない、昔風に言うと「玉石混交」な商品という自虐的な意味と、
シュレディンガーの箱」が「シュレディンガーの猫」と韻を踏んでいるという理由で名づけられました。

開店はシュレディンガーの誕生日の8月12日ではなく8月20日。現在セール中です。