「初」と「新」

どうも、スタッフの濱口です。

さて、8月になりましたので初詣の話題です。
例によって、おっさんの前世紀の文章です。
なぜ、8月なのに初詣かといえば、じっくり読むとわかるかもしれません。
では『5.初日の出と初詣』をどうぞ。



初日の出と初詣

今年の1回目が『世紀末』という正月にふさわしくない話題だったので、
今度は正月らしく『初日の出と初詣』です。

まず『初日の出』ですが、これは言うまでもなく『1月1日の日の出』です。
では、なぜ、『1月1日の日の出』が重要視されるのでしょう?
『12月31日の日の出』と何が違うのしょう?
はっきり言えば、何の違いもありません。まあ、細かく言えば、12月31日よりも
1月1日の方がほんの少しだけ北側から日が昇ります。でも、そのことを知っている人は
たくさんいても、実際に見てこのことに気付く人は、世界規模で見てもほとんど
いませんから、同じと言ってもいいでしょう。

現在の暦は『太陽暦』とも言われるように太陽の運行を基準にしてはいますが、
『1月1日』がどのように決められたのかわかりません。でももし太陽の運行に
応じて決めたのならば、太陽が最も北寄りから昇る『夏至』、南寄りから昇る『冬至』、
真東から昇る『春分秋分の日』あたりが『元日』になっていたでしょうから、
どうやら太陽の運行とは無関係に決められたようです。
だとすると『初日の出』はまさに『1月1日の日の出』という人間の決めた
暦としての意味しかなく、無限に広がる大宇宙における法則・真理とは無関係です。
ですから、
「はい、今日を1月1日とします」
と言えば、その日の日の出が『初日の出』となります。
おっと、それでは『初日の出』に間に合いませんね。「今日を大晦日とします」と言って
もらわないといけません。ま、どっちにしてもあまりありがたくありませんね。

ところで、『初日の出を拝む』という習慣は海外にもあるのでしょうか?
日本では、かつて聖徳太子が『日いずる国』と言ったり、宗教でも太陽を擬人化(?)した
天照大神』や『大日如来』が高い地位にいたりと、日本人にとって太陽は特別の意味を
持つようです。もっとも『日本』の『日』も『日の丸』も太陽を表わしていますから、
いちいち説明するまでもありませんが。
ですから『初日の出を拝む』というのもよくわかります。でも外国ではどうでしょう?
キリスト教には『太陽神』そのものがいるかどうかすらわかりませんし、
ギリシャローマ神話の『太陽神アポロン』は主神とはいえず、せいぜい『幹部クラス』です。
太陽というもの自体が重要視されていないようです。
これが本当かどうかは知りませんが、さらに地理的な問題もあるんじゃないでしょうか。
地中海といえばすごく暖かい、下手をすれば南国の海というイメージまでありますが、
緯度で言うと北海道と同じくらいです。パリ・ロンドンといえば、さらに北にあります。
ですからたぶん凄く寒いのでしょう。行ったことがないので本当かどうかわかりませんが。
だとすると初日の出をみるのはかなり厳しいんじゃないでしょうか?
海外でも真夜中にカウントダウンしているのはよく見ますが、真夜中より夜明け前の方が
寒いそうですから。

これだけ書いておいて、『実は海外でも初日の出を拝むんだよ』という落ちだと本当に
屁理屈ですが、どなたかご存じないですか?
それから、北欧あたりの『初日の出』はどうなっているんでしょう?
白夜がある地域は冬は逆に何日も太陽が昇らずずっと夜が続きます。ですから1月1日に太陽が
昇らないという所もあるでしょう。とするとたとえば『1月15日が初日の出』ということに
なるんでしょうか? 

つづいて『初詣』です。厳密に言えば『元日』に参拝することなのでしょうが、三が日、
あるいは松の内に参拝することを言うようです。
これまた不思議な習慣です。1度参拝しても年が変わると『無効』になるのでしょうか?
仮に12月31日に参拝したら有効期限は1日だけ? いくらなんでもそんなことはないでしょう。
だとすると正月にイモを洗うような状態で押し合いへし合い参拝しなくても、もっとすいた時に
参拝する方がいいんじゃないでしょうか。たいていの人は初詣1回だけしか参拝していない
ようですから、有効期限があるにしても1年間は有効のはずです。ですから、月を決めて
1回参拝すれば同じはずです。
「俺の初詣は8月だ」というのがかっこいいか、馬鹿にされるかちょっとわかりかねますが。

では、いつ参拝するのがいいのでしょう?
初詣のイメージに近いのは2月ですが、その頃は受験生の参拝が多いですから
正月よりはましでしょうが、避けた方がいいでしょう。4月を過ぎれば、
あとはいつでも同じようです。

さて、いつ行きましょうか。いつでもいいのならできるだけすいた時にしましょう。
もう気付きましたか? そうです、あの日です。日本国民のほぼ全員が『えせキリスト教徒』になる日、
『クリスマスイブ』です。この日は誰もが神社なんか見向きもしませんから、この日に参拝すれば、
神様もいつもより多くの御利益を授けてくれるかもしれません。

でも、『おおぜい参拝に来ているからひとり当たりの御利益は小さく、少ない人数だから御利益が
大きい』神様ってちょっと嫌ですね。やはり神様には平等に扱って欲しいと思います。
ただ、お願いする方からすればどうでしょう。押し合いへし合いしながらお願いするよりも、
すいた状態でお願いする方が、願いが通じるような気がするんですが。
なら、やはりすいた時に行った方がいいようです。
「神様ならちょっと思っただけで通じるんじゃないか」という意見もあるでしょうが、
それを言うと参拝そのものが無意味になりますから却下です。

ところが、すいた時に参拝するのにも欠点があります。『すいた時』ですから当然のことながら、
『バイトの巫女さん』なんていません。『バイトの巫女さん』を鑑賞したい人は今まで通り、
押し合いへし合いしながら正月に参拝してください。

ああ、素晴らしきかな、屁理屈!



「俺の初詣は8月だ」という一言から、この暑い8月に初詣の話を引用したのですが、
普通世間ではこういうのを「あげあしとり」といいます。

ちなみに「初雪」は「その年の最初に降った雪」ではなく、「その冬の最初に降った雪」だそうです。
少し考えれば当たり前の話で、雪のシーズンの間に新年を迎えるわけですから、
「その年の最初に降った雪」は意味を持ちません。
そんな定義だと雪国では多くの場合、3が日が初雪になってしまいます。

しかし「その冬の最初に降った雪」ではちょっと困ることがあります。
「昨日の雪は『冬』でなく『秋』に降ったから初雪ではない」などという屁理屈はおいておくとしても
いつからが冬かよくわからない地域があります。
それは高山です。いうまでもありませんが「(ひだ)たかやま」ではなく「こうざん」です。
高山では、平地で「夏」と呼ばれる季節でも雪が降ることがあります。
つまり昨年の冬と、今年の冬の間に明確な「夏」がないこともあるのです。
そうなると、この雪が「昨年の冬の最後の雪」なのか「今年の初雪」なのか、判断に苦しみます。

そこで明確にするために「その年の最高気温を記録した後の最初の雪」を初雪としています。
そのため、「初雪が降りました」と報道された後に最高気温が更新され、初雪が取り消された
年もあったそうです。
もっとも富士山頂の測候所が閉鎖されて以来、そんなややこしい観測地点がなくなり、
「その冬の…」で問題なくなったそうですが。

さて、「8月だ」という部分があるという非常に細かい理由で始めた今回の話、
実はもう1ヶ所、細かな部分が変わっています。
今まで6ヶ月以上、「新スタッフ」を名乗ってきましたが、今回は単に「スタッフ」になっています。
「新」とか「初」とかいうのは一般的な使い方がいいようです。

となれば、やっぱり最後はこの人のギャグで。
「誰が興味あんねん!」by ザ・プラン9 ヤナギブソン