三寒四温

どうも、新スタッフの濱口です。
入社して早1ヶ月、いつまで「新スタッフ」なんだとの疑問はありますが、
「新横浜駅」「新大阪駅」はできて48年以上たっているのにいまだに「新」ですし、
新地・新開地もまたしかり。
ですのでしばらく「新スタッフ」で行こうと思います。
 さて今回も知り合いの知り合いのおっさんが前世紀に書いた文章です。
 ただそれだけではなんなので、ちょっと解説を入れてみようと思います。
 今回も季節ものです。



三寒四温

もう2ヶ月ほど前になりますか。今年の1月ごろ、散髪に行こうとしたのですが、
寒かったのでやめました。
「寒い時に散髪をすると(首筋が涼しくなって)風邪を引きやすい」という理由からです。
これって私の中では『常識』なのですが、同意してくれる人は少なく、
「えっ? そうなの?」という人の方が多いのです。
私は人よりも風邪をひきやすいのでしょうか?
平日は仕事がありますから、散髪に行くのは週末ということになります。そのときは
「次の週末に行けばいいや」
と軽く考えていたのですが・・・次の週末も寒い。「じゃあ、次の週」「さらに次の週」
とどんどん進んで、暖かくなってやっと散髪に行ったのは5〜6週間あとのことでした。

その間、ずっと寒かったわけではありません。週の中頃、つまり水曜日頃は暖かくて
「今週末こそ散髪に行ける」
と思っていたのに『週末はやっぱり寒くて散髪に行けない』ということもかなり
ありました。

そこで思い出したのが『三寒四温』という言葉です。意味は
「三日(ほど)寒い日が続き、四日(ほど)暖かい日が続く。これを繰り返しながら
春になっていく」
というようなことだったと思います。1月がそうなのか、2月頃をいうのか、それとも
冬のかなりの時期がそうなのか、細かいことはわかりませんが、今年はかなりの期間
そうだったようです。
もっとも、覚えているのは「今年は週末ごとに寒かった」というだけです。つまり
「(3+4の)7日周期だった」ということですが、細かく覚えてはいませんので
「いや、今年は『四寒三温』だった」と言われれば反論できません。

三寒四温』は自然現象をあらわした言葉ですから、「週末ごとに寒いのは都合が悪い」
からといって勝手に『三寒三温』や『四寒四温』にするわけにはいきません。というか、
そうするためには人力で天候を制御しなければいけません。もちろんこんなことは
今世紀中には無理です。

となると『1週間を7日以外の日数にする』以外にはないことになります。これも
事実上不可能ですが、自然現象とは違うので、できないことではありません。では、
こちらをつついてみましょう。

1週間はなぜ7日間なのでしょうか?
詳しくは知りませんが、おそらくは『神が7日間で天地を創造した』というキリスト教
故事(?)にちなんだものでしょう。
『神が7日間で天地を創造した』と書きましたが、正確には『6日間で天地を創造し、
次の1日は安息日(休日)とした』ということです。

もし、神がもっと要領がよく、さっさと天地創造を終わらせていれば、たとえば、3日で
創って1日休めば、1週間は4日間となり、『三寒四温』であっても週末ごとに寒くなる
という事態は避けられたのです。
「あの時もっとしっかりとやっていれば・・・」と後悔することはよくありますが、
これなどその最たるものでしょう。「3日(つまり半分)で創造しろ」というのは
無理だとしても、もし急いで創って5日ですんだとしたら、1週間は6日になり、
1年間の日曜日は60〜61日となり8日増えます。週休2日制なら休日が16日も
増えたのです。1日くらい工期を縮められなかったのでしょうか?

それから、『6日間働いて1日休んだ』ということですが、8日目以降、神がどう
働いたかは記載されていません。ひょっとするとそれ以降はまったく働いていないかも
しれないのです。
『6日働いて、あとはずっと休む』というのが正しい姿勢なのかもしれません。

8日目以降の動向は追いかけようのないことです。ですから7日目までのことに
戻しましょう。
聖書によれば、神が人間を創造したのは6日目の、それもおそらく一番最後です。
この日は休日の前日ですから今の言い方で言えば『土曜日』に当たります。
今は週休2日制が定着していますが、それ以前は『土曜イコール半ドン』でした。
この習慣が聖書から来たかどうかは不明ですが(聖書には6日目は半日で終わったとは
書いていないようです)、もし仮に6日目に人間を創造した段階で、まだ昼間だったのに
創造を打ち切った(それが『土曜日半ドン』という形で残った)のだとしたら・・・
あと半日かけて、じっくり『人間』を創り込んで欲しかったですね。
そうすればもっと『できのいい人間』ができたことでしょうから『エデンの園』から
追い出されることもなく、今ごろは『エデンの園』で左うちわで生活できて
いたでしょうに。



 おっさんの文章は以上で終わりです。
 これは前世紀に書かれた文章なので文中の今世紀中は20世紀のことです。
 半ドンは「半日休み」の意味で、すでに「死語」だそうです。
 さて本来こういった受け狙いの文章に解説をつけるのは禁じ手ですが、
あえてやってみます。
 この文章の面白味は、異質な2つ、「散髪に行けなかったこと」と「創造神の怠慢」を
結びつけたことです。創造神もまさか散髪に行けなかった責任を追及されるとは
思っていなかったでしょう。
 この「異質なものを結び付ける」というのは自己啓発やアイデア本では超定番の
方法であり、多くの成果が出ています。
 科学の分野では、
「風呂」と「合金の含有率」を結びつけたストリーキングの祖・エウレカさん、
「りんごをかじると歯茎から血が出た」ので「万有引力」を発見したニュートンさん、
「尻尾をくわえた蛇」と「ベンゼン環」を結びつけた・・・のは誰でしたっけ?
といろいろあります。
 さらに商売の世界でもヒット商品がいっぱいです。
「ラジオ」と「カセットデッキ」を結びつけた「ラジカセ」、
さらに「CDプレーヤー」も付けた三体合体の「CDラジカセ」
「スピリチュアル」と「壷」を組み合わせた「霊感商法
「電話」と「演技」を組み合わせた「劇場型オレオレ詐欺

 さて今年も何か「新商品」が出てくるのでしょうか?