ロト6

どうも、新スタッフの濱口です。
最近気になっているTVCMがあります。
妻夫木聡さん扮する部下が「4億円だ」「8億円だ」というと
柳葉敏郎さん扮する部長が「お前の夢は金で買えるのか?」
部下は「かっこいい」となるロト7のCMです。

このあと部長のかっこ悪い行動がオチになるのですが、
それ以前に「お前の夢は金で買えるのか?」はかっこいいのか?
CMが言いたいことは「金、金言うな」ということだと思いますし、
それを否定する気はありませんが夢が絡むと話は違ってくる。

夢をあきらめる本質的な原因は「才能がない」ということですが、
現実的な原因としては「金がなくなった」というのが上位に来ます。
夢を追いかけるといっても生きている限り生活費は必要です。
でも就職してしまうと夢を追いかける時間がなくなるので、
就職せずにアルバイトで生計を立てている、というのはよく聞く話です。
就職するということは、ある意味夢をあきらめたことを意味します。
ある程度、年を重ねた人には「いちご白書をもう一度」の「就職が決まって
髪を切ってきた時」の一節を思い出すかもしれません。

漫画でも
バクマン。」に「貯金が無くなるまで次回作を頑張る」というセリフがあり、
金がなくなれば一時的にでも夢を追いかけられないことがうかがえますし、
capeta」でも非常に優秀なドライバーで世界選手権で優勝した主人公でも
スポンサーを確保しないとドライビングチームに入ることもできない。

よく考えれば中世の芸術家にも「パトロン」と呼ばれるスポンサーがついており
生活費、活動費を出してくれていた。逆に言えば金がなければ芸術活動もままならない。

だから「金で夢を買うことはできない。でも金で夢に近づくことはできる」なのです。
「お前の夢は金で買えるのか?」は夢を追いかけたことのない人のセリフです。
もっともこれは柳葉敏郎さん扮する部長のセリフであり、
柳葉敏郎さんが夢を追いかけたことがないというわけではありません。

あと「金で夢を買うことはできない。でも金で夢に近づくことはできる」を「かっこいい」と
思ってくれた妻夫木聡さんのようなひとには申し訳ないですがこの言葉はオリジナルでなく
元ネタがあります。
「金で愛を買うことはできない。でも金で愛を育むことはできる」
よく考えれば「金を持っている」は「イケメンだ」「頭がいい」「優しい」「スポーツ万能」と
同じく長所の1つに過ぎませんから金を持っていることで好きになってもおかしくはありません。
でも「金持ちと結婚した」というと「毎日食事に少量のヒ素を混ぜ、徐々に弱らせて死に至らしめる」
というイメージがついて回ります。
なぜでしょうか。一応それらしい理由もあるのですがそれはまた別の機会に。

さて、さすがにここからサイエンスにもっていくのは苦しいので金と夢の話はこれで
終わりでここからはロトの話です。

日本のロトにはロト7、ロト6、ミニロトと3種類あります。それぞれ選ぶ数字の数が
違うだけで基本的に同じルールです。
ロト6の場合、1〜43の43個の数字の中から、異なる6個の数字を選んで購入します。
そして6個の「本数字」と1個の「ボーナス数字」と、自分が選んだ数字との一致の様子によって
等級が決まります。
本数字すべてと一致すれば1等、本数字5個とボーナス数字が一致すれば2等・・・
というように、以下5等まで当せん金が戻ってきます。

ちょっと数学を知っていればわかりますが、1〜43の出る確率は同じです。
実際にはボールを使って抽選するので、本当に同じ確率か?というと疑問ですが、
億の金額が絡んでいるのですから目に見えた差はないと信じましょう。
それから過去の結果とも独立です。プロ野球の先発投手なら「昨日藤浪が投げたから今日の登板はないな」と
予想がたちますがロト6の場合、前回1が本数字だからといって、今回1が本数字になる確率が上がるわけでも
下がるわけでもありません。同じです。
ですから「必勝法」というものは存在しません。

「必勝法」はありませんが有利になる買い方はあります。
それは「期待値をあげる」ことです。
期待値とは難しく言えば「確率変数の平均値」だそうです。
計算方法は「各事象の確率にその事象の報酬をかけたものの和」。
小難しくいうとわかりにくいですが、例を挙げればわかりやすい思います。
たとえばルーレットの場合、(いくつか種類がありますが)0,00と1〜36の38個の数字の
どれに玉が入るかを当てます。
1つのマスに賭けて当たると36倍になって戻ってきます。仮に1に賭けたとすると
期待値は
(1が出る確率)×36倍+(1が出ない確率)×0倍
=1/38×36+37/38×0=36/38
となります。正しくは第2項は(2が出る確率)×0倍+(3が出る確率)×0倍+・・・
ですが、0倍が共通項なのでまとめています。
あとテスト問題ならば36/38は18/19と約分すべきですがテストではないのでそのままです。
他に黒か赤か、偶数か奇数かを当てる賭け方もあります。いずれも倍率は2倍です。
ただし0と00は数学上は偶数ですがルーレット上では偶数でも奇数でもなくどちらに賭けても
ハズレです。またこの2つは緑色ですので赤でも黒でもありません。どちらに賭けてもハズレです。
したがってこの4つの賭け方はいずれも当たりは18個になります。期待値は
(当たる確率)×2倍+(はずれる確率)×0倍
=18/38×2+20/38×0=36/38
です。実はルーレットではどのような賭け方をしても期待値は36/38倍になります。
期待値が1倍以下ですから長い間続けていると必ず1-36/38=2/38だけ損をします。

逆に言えば2/38だけ主催者が得をします。
これはショバ代(ショバは場所の倒置。つまり場所代)とか寺銭(てらせん:主催者だった寺に払った銭。つまり
場所代)とか呼ばれるものに相当します。
主催者(親)の取り分2/38は5%強です。
これは少ないほうで競馬だと25%返ってきません。
手元の年末ジャンボを計算してみましたが50%返ってきません。
これに比べればルーレットは「良心的」です。

さて期待値を上げるには「確率を上げる」か「報酬をあげる」かです。
確率はどの数字も同じですから「確率を上げる」のは無理です。
であるならば「報酬をあげる」しかない。
報酬は売上げに比例した金額を正解者で山分けですから「売上げを増やす」というのは1つの手です。
でもそれだと全部の選択の期待値が上がりますからどれを買うかの決め手にはなりません。
すると残るはただ1つ。山分けする「正解者を減らす」ことです。
正解者を見つけて一人一人殺していけば最後は・・・
いえいえ遺産相続じゃないんだから殺人はいけません。第一、正解した時点で山分けされるから
そのあとで殺しても無意味です。
だから「他人が買わないような組み合わせを買う」というのが期待値を上げる方法です。

ではどんな組み合わせが買われないのか。
いろいろあると思いますが1つには「規則正しい組み合わせ」というのがあります。
「1,2,3,4,5,6」という組み合わせ、きちんと確率を計算すると
「1,5,12,19,34,43」や「6,10,18,22,23,36」などと同じ確率で決して起こりにくいわけではない。
頭ではわかっていても「1,2,3,4,5,6」は出にくい気がする。
ましてや確率の話を知らなければ「1,2,3,4,5,6」など出るとは思えない。
出るはずがないと思えば買わない。だからたぶん「1,2,3,4,5,6」を買っている人は少ない。
だからもし当たれば当せん金は多い。つまり期待値は大きい。
もっともそのように考えて「1,2,3,4,5,6」を買っている人もいそうだからもう少し
ひねったほうがいいかも。
「2,4,6,8,10,12」とか「3,6,9,12,15,18」とか。
ま、考え方の1つということで。

これがサイエンスかどうかは微妙ですが少なくともマセマティクスではあります。

最後に。
「期待値が違うといってもたいしたことないだろう」と考えている人に、逆ですけど実例を1つ。

ここ5回(第767回〜第771回)の平均で2等当せんは10.4本で18,335,440円、3等当せんは329.6本で583,420円。
当せん本数は無視(重み付けせずに)して単純に平均をとっただけだから正確ではないでしょうが、
ざっと2等1,500万円、3等60万円です。
ところが2012年9月6日の第691回は2等当せんは3,470本で57,100円、3等当せんは702本で338,700円。
3等当せん本数もここ5回の平均の倍以上ですが、2等当せん本数は300倍以上!!
その結果、2等よりも3等の方が当せん金が多くなるという事態に。

詳しくは「ロト6 LOST 2等」などで検索すれば出てきますが、
ドラマで高額当せんした番号を買い続けている人が多く、それが偶然2等になった
ということです。
やはり他人が買わないような番号を買う方がいいようです。
それができないなら、正解者を見つけて一人一人・・・